まず心から彼の冥福を祈ります。
おそらく彼のことを知る人は少ないだろう。
自分の中ではとにかく素晴らしいピアニストだったのだ。
彼と出会ったのは中野ピグノウズでインプロセッションをし始めた頃だから2年ほど前だった。
とにかく群を抜いていた。
タッチ、音のクリアーさ、スピード感、そして尽きることのない表現衝動。そして演奏中は衝動に任せて止まらないらしくムダな事も考えていなそうだった。
彼がピアノを弾き始めて細かいパルスでの音をつめる表現に向かうとその衝動はもう止まらないから参加した誰もがついて行けなかった。
インプロにおいて彼の表現スタイルははっきりしていたために様々なスタイルの参加者とセッションをするとあまりに独壇場になっていた。
つまり彼の場合は徹底的にやる続けるフリージャズ的なアプローチに私は感じたのだ。
その場合は優しいだの温かいだの面白いだの言っていられなくなるくらい認めていい素晴らしい表現もあると思うのだ。
それで私は彼に「それだけ弾けるし自分のやり方で突っ走るだけならリーダーでやるかソロでやればいいしいろいろなレベルの人が参加するセッションにはもう来る必要もないと思う」と言ったのだった。
三回ほど参加して彼はセッションに来なくなっていた。
惚れたピアニストだからそれ以後は彼のことが何処でどうしているのか気になっていた。
その後いろいろわかったのは、彼には参加したCDもあり昔はサックスの菊地ナルヨシ君とも活動してた時期もあったりジャミンでインプロのセッションのリーダーもしていたり。
彼を知るジャズミュージシャンの中には彼の演奏に温かさ優しさ面白さがまだ欠けていると言う人もいたが彼は人間味を大切にしがちなジャズにありがちな価値観とは違う次元で表現していたはずだ。
様々な価値観とはどれも一長一短でどれも言ってみれば正解でもあり違う角度から見れば逆転する。
ヨーロッパなら彼は即座に絶賛されるピアニストだったと思う。
しかも成長する姿勢において謙虚だった彼の中では今からジャズの価値観であるヒューマンな魅力も育ち始めていたようだった。
私は彼を故人であるギターの高柳さんが生きていたら是非紹介したかったし高柳さんとずっと共演してきたベースの井野さんやドラムの山崎さんにも紹介したかった。
慎んで菊地君の御冥福を祈ります!
菊地潔君ありがとう!
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