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2006年3月12日 (日)

ブラジル音楽を再確認した出来事!

去年の一月末に親しかったルイザンというブラジル人のベーシストが他界した。 彼は長年故エリスレジーナと演奏をしていたブラジルでは誰もが認める音楽家だったのです。

彼が日本で病に倒れ慶応病院に入院すると、ブラジルにいた息子さんの一人がすぐ日本にやって来て看病していました。 その彼とは病院で三度ほど、それにルイザンの最後のお別れの時しばらくの時間一緒でした。

彼はブラジルではファベラという貧民が住む、よほどの事がない限り這い上がれない無法地帯に住んでいてギャングの手先のようなこともしているとの事でした。 とても悪い事を平気でするような人には見えないし気の優しい印象を受けました。 地下の霊安室で私がイパネマの娘を弾くと一緒になって口ずさみ涙を流していたのを覚えています。 私も涙してとてもまともには弾けない状態でした。

ルイザンが亡くなり告別式の前夜、彼は六本木で前後不覚になるくらい酒を飲んだそうです。 そして帰りたくないと泣き叫んでいたというのです。 告別式には来れず、次の日に帰国のため成田空港へ行ったさいも、酔っ払っていて空港内には入れず追い返されたのでした。 別の日に再度成田空港からブラジルに帰ったのは人づてに聞いていました。

それから数か月たちルイザンの事も少し落ち着いてきたやさき、ルイザンの奥さんから彼の死を聞かされたのです。 聞かされた私は心からショックを受けました。 警察官に呼び止められた時に逃げようとして銃で撃たれ、そのまま出血多量で死んだそうです。

あんな気の優しそうな悪い事などするように見えない彼はやはりもといたファベラに戻って行くしかなかったのでしょうか? そして警察官に呼び止められて逃げるしかなかったのだろうか? 日本にいる時に帰りたくないと叫んだ彼の心中を思うと沈痛でヘビーな気持ちになります。 やり直したいとも言っていたそうです。 日本が平和な国で優しい人があふれていると感じていたのではないか、新しい国で皆と対等にやって行きたかったのではないか? きっと彼には日本が天国のように感じたのではないか。 そんなコトを思い巡らせました。

ここで思い出したのが「黒いオルフェ」という映画の事です。  サンバカーニバルとファベラ。 無法地帯ながらも夢を持ちささやかな恋をしながらも死んでしまう少年。 銃やナイフが当たり前のごとく使用さるる社会。 夢を見ても這い上がろうとしても引き戻されてしまう世界。

そしてそこにはサンバがありサンバカンソンがある。 彼らにとってのサンバやサンバカンソンは日本の僕らには想像することはできても、計り知れないくらい生活の一部であり救いであり安らぎや夢でありブルースなのではないかなと愕然としたのでした。 あのリズムが魂の底から必要で、美しいメロディーや甘美な和音も心底からの夢とロマン、救いなのではないか。 心から考えさせられた出来事でした。 そしてブラジル音楽を再認識した出来事でもあったのです。

                                                 

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